伊賀焼
三重県の北部に位置する伊賀・丸柱。
伊賀焼の産地として知られます。
江戸時代後期からは、この地域で取れる土の特性を生かして、
土鍋、土瓶、行平鍋など、直火にかけられる食器類の生産が盛んとなりました。
約400万年前、琵琶湖の底にあったとされるこの土地では、
当時の生物や植物などの堆積物(有機物)が多く含まれる粘土が産出されます。
この土は、焼成することで気孔が生まれ、荒いざっくりとした土質(多孔質)になります。
そのため、熱を蓄えやすく、直火にかけても割れにくい特徴を備えるのです。
伊賀の土は、白く、多孔質でざっくりとした土味が特徴。
釉薬の色を美しく引き立てます。
また、使い込むほどに生まれる味わいも魅力です。
伊賀焼といえば土鍋が有名です。
美味しくご飯が炊けたり、美味しい鍋料理が楽しめる土鍋は、
量販店等でもよく見かけ、広く親しまれています。
手しごとがご紹介する土鍋は、伊賀ならではの土味を生かすため、
伊賀の陶土のみを用いて作られています。
土鍋は、直火にかけると、土が膨張・収縮するため、全体にヒビが生まれます。
そのため、使いはじめにおかゆを炊いたり(目止め)、
強火や急冷を避けるなど、ご使用上のひと手間が必要です。
一般的に販売されている土鍋の多くは、
「ペタライト」と呼ばれる海外産の鉱物が陶土に混ぜられています。
これによって陶土の膨張を抑えられるので、ヒビは生じなくなりますが、
土が持つ本来の表情が失われ、釉薬の色の印象も変わってしまいます。
伊賀伝統の釉薬である青磁釉や飴釉は、
伊賀の土だからこそ美しく引き立ちます。
ぜひ、食卓を美しく彩ってくれる、伊賀ならではの器をお楽しみいただければと思います。
やまほん陶房の当主・山本忠正さんは、美大を卒業後、家業の窯元を継承されました。
量産の食器をはじめとした職人的な仕事に取り組むとともに、陶芸作家としての一面も併せ持ちます。
▲やまほん陶房の製品(土瓶と土鍋)
やまほん陶房の土鍋は、京型と呼ばれ、やや平たい形が特徴です。
京都の料亭などで、すき焼きに用いられていた形とのこと。
京都に近い産地である伊賀ならではの、伝統的な形です。
平たい形に沿うように、やわらかくカーブした持ち手がつけられていて、
持ちやすく、美しいシルエットです。
また、蓋の持ち手もしっかりと大きく取られていて、持ちやすく、安心感があります。
サイズは、7、8、9寸の3種類。
それぞれ、飴釉と青磁釉の2色です。
飴釉は、透明感がある飴色で、土のざっくりとした風合いが楽しめます。
やわらかな緑色の青磁釉も、味わいがあって良いです。
3〜4人で囲む鍋には、9寸がおすすめです。
8寸は、2〜3人程度が目安です。
7寸サイズは、1〜1.5合程度のご飯を炊いたり、煮込み料理やオーブン料理に。
やまほん陶房の土鍋は、オーブンも利用できます。
遠赤外線の効果により、具材が柔らかく、美味しく温められます。